VIDEO TRANSLATION GUIDE A03
映像素材を送る前に
確認していただきたいこと
映像が再生できれば、すぐ翻訳できるとは限りません。
送付前の数分の確認で、翻訳作業が止まるトラブルを防げることがあります。
翻訳しやすい素材と、作業を止めてしまう素材があります
映像翻訳では、翻訳者が映像を一度見るだけではありません。同じ発言を何度も再生し、数秒戻し、聞き直しながら原稿を作っていきます。そのため、「映像が再生できる」ことと「翻訳作業がしやすい」ことは別です。
特に急ぎ案件では、素材の不具合に気づくまでの時間がそのままロスになります。送付前に一度、実際に再生して、音声や操作に問題がないか確認していただくことがとても大切です。
送付前に「最初から最後まで確認してください」という意味ではありません。
冒頭・中盤・後半を実際に再生し、音声が入っているか、目的の音声になっているか、巻き戻しや早送りが正常にできるかを見るだけでも、多くのトラブルを防げます。
同じMP4・MOVでも、翻訳のしやすさは同じではありません
ファイル名の末尾が同じ `.mp4` や `.mov` でも、書き出し設定や圧縮方法によって操作性が異なることがあります。通常再生はできても、翻訳作業で何度も行う「少し戻す」「同じ箇所を繰り返す」という操作がうまくできない素材があります。
WORKABLE
翻訳しやすい素材
数秒単位の巻き戻し・早送りが素直に動き、任意の位置へすぐ戻れる素材。聞き直しを繰り返しても作業が止まりません。
DIFFICULT
作業しづらい素材
10秒だけ戻したいのに大きく前へ飛ぶ、シークすると固まる、再生位置がずれるなど、確認のたびに時間を取られる素材。
翻訳用素材はMP4推奨。高画質より「軽さ」を優先してください
映像翻訳用の素材は、基本的にはMP4を推奨しています。MOVでも対応できますが、どちらの形式でも、翻訳用としては必要以上に大きなファイルにする必要はありません。
翻訳に高画質は不要です。 翻訳者が発話内容を確認でき、必要な映像情報が見える画質であれば十分です。画面内の細かな文字や資料そのものを確認する必要がある案件を除き、放送マスターのような高画質データをそのまま送る必要はありません。
同じ30分のMP4でも、容量が大きく違うことがあります
書き出し設定によって、同じ30分程度の映像でも数GBになることもあれば、数百MBに収まることもあります。
制作側からのアップロード時間だけでなく、こちらで受信し、さらに翻訳担当者がダウンロードする時間も必要です。ファイルを軽くしておくことは、翻訳そのものとは別のところで時間を失わないための重要な準備です。
長い素材は、区切りのよいところで分割すると作業しやすくなります
1本の非常に長い素材よりも、内容の区切りに合わせて分割されている方が、翻訳者は必要な箇所へ戻りやすく、ファイルごとの進捗管理もしやすくなります。
たとえば、1本の長尺素材を分ける場合
場面転換やインタビューの切れ目など、意味の切れる位置で分けてください。発言の途中で細かく切りすぎる必要はありません。
音声トラブルは、翻訳そのものを止めてしまいます
映像はあるのに、音声が入っていない
再生画面は正常でも、音声トラックが入っていない、または無音で書き出されていることがあります。
必要な音声ではなく、別の音声が入っている
現場では複数トラックを収録していても、書き出し時に別トラックが選ばれていることがあります。
複数言語の音声が全部ミックスされている
スポーツ実況などで、各国語の音声が同時に重なって届くと、目的の言語を聞き分けるのが難しくなります。
映像と音声が同期していない
口の動きと音声が大きくずれている素材では、話者確認やタイムコード確認にも影響します。
良いマイクで録っていても、その音が届かなければ意味がありません
取材現場では、聞き取りやすくするためにガンマイクやピンマイクを使っていることがあります。それでも、翻訳用に届いた素材ではカメラ本体のマイク音声だけになっていることがあります。
せっかく近い位置で明瞭に録れている音声が別トラックにあるのに、遠くのカメラマイク音声で翻訳を進めることになると、聞き取りに時間がかかり、聞き取り精度にも影響します。
ガンマイク・ピンマイクの音声
話者に近い音が収録されていれば、周囲の雑音がある現場でも発言を確認しやすくなります。
カメラマイクだけで書き出されていないか
素材を書き出したあと、実際に聞いてみてください。「現場ではもっと聞こえていたはず」と感じる場合は、別の音声トラックがないか確認する価値があります。
急ぎのときほど、送付前の確認が重要です
通常案件でも素材確認は大切ですが、急ぎ案件では影響がさらに大きくなります。こちらで不具合にすぐ気づけば修正をお願いできますが、気づくのが遅くなると、制作担当者がすでに帰宅している、編集所に連絡がつかない、といったこともあります。
たとえば、こんな時間ロスが起こります
この1時間が、翌朝・翌日納品では大きな差になります。急ぎの案件ほど、素材を共有する前に一度再生し、目的の音声が入っていることを確認してください。
送付前の簡単なチェックリスト
数分で確認できる項目だけでも、かなり違います。
- ファイルが正常に開き、最後まで再生できる
- 数秒戻す・早送りする操作が正常にできる
- 目的の音声が入っている
- ガンマイク・ピンマイクなど、適切な音声トラックが使われている
- 不要な別言語音声が重なっていない
- 映像と音声が大きくずれていない
- 長尺素材は必要に応じて区切りよく分割されている
- 複数ファイルは順番が分かる名前になっている