VIDEO TRANSLATION GUIDE A04

急ぎの映像翻訳
――素材到着時間と納期の考え方

急ぎ対応は、「あと何時間あるか」だけでは決まりません。

言語、内容、翻訳量、素材状態、ファイル構成、優先順位まで見て、最も無理のない進め方を組み立てます。

急ぎの映像翻訳は、時間だけでは判断できません

「20時に素材が届いて、翌日正午まで」という条件だけを見ても、対応できるかどうかはまだ判断できません。英語なのか、希少言語なのか。30分素材でも、話しているのは5分なのか30分なのか。専門家インタビューなのか、街録なのか。音声は明瞭なのか。ファイルは1本なのか10本なのか。

急ぎ案件では、こうした条件をまとめて見ながら、1人の担当で続けた方がよいのか、複数人に分けた方がよいのか、どこから先に納品するのかまで考えます。

急ぎの映像翻訳に対応する作業イメージ
急ぎ=とにかく人数を増やす、ではありません。 分け方によっては、文脈や訳語の統一が崩れ、確認作業が増えて逆に遅くなることもあります。
もう一つ、急ぎほど大切なのが素材そのものの確認です。 音声抜け、誤った音声トラック、複数言語のミックス、巻き戻ししづらい書き出しなどがあると、作業開始後に止まってしまいます。送付前の確認ポイントは、「映像素材を送る前に確認していただきたいこと」をご覧ください。

最初に確認する9つのこと

01

何語か

言語によって、対応できる翻訳者数や確保しやすさが変わります。

02

どのような内容か

街録、専門家インタビュー、会見、スポーツ、医療・科学などで必要な経験が変わります。

03

素材尺と翻訳尺

映像全体の長さと、実際に外国語を話している時間は別です。急ぎでは特に重要です。

04

素材状態

音声の明瞭さ、かぶり、雑音、仮編集か完パケに近いか、TCの有無などを見ます。

05

ファイル数・構成

1本の長尺素材か、独立した短いファイルが複数あるかで、分担のしやすさが違います。

06

素材到着予定時刻

いつから実作業を始められるのか。予定がずれる可能性も含めて確認します。

07

希望納期と最終期限

「できればこの時刻」と「ここを超えると編集に間に合わない」を分けて考えます。

08

優先順位

先に必要なファイルや発言が分かれば、全量完成を待たずに順次納品できます。

09

担当を分けるか

速さだけでなく、文脈・訳語統一・話者の一貫性を見て、1人か複数人かを決めます。

「素材尺」と「翻訳尺」は同じではありません

急ぎ案件で「素材は30分です」と伺っても、それだけでは作業量を判断できません。重要なのは、映像の中で実際に翻訳が必要な発話がどのくらいあるかです。

EXAMPLE A

30分のロケ素材

移動や風景が多く、外国語の会話は合計8分程度。

素材尺:30分 / 翻訳尺:約8分

EXAMPLE B

30分のインタビュー素材

ほぼ全編で話し続けており、専門用語も多い。

素材尺:30分 / 翻訳尺:約30分
同じ30分素材でも、必要な作業時間は大きく違います。可能であれば、「全編翻訳」なのか「指定TCのみ」なのかも併せてお知らせください。

素材状態によって、急ぎ対応の難易度も変わります

音声が明瞭か

スタジオ収録のように聞き取りやすい音声と、街録・屋外ロケ・電話音声では確認にかかる時間が異なります。

複数人の発言が重なっていないか

会話のかぶりが多い素材は、同じ尺でも聞き分けに時間がかかります。

専門用語・固有名詞が多いか

人物名、施設名、専門用語などの確認が必要な素材では、訳す以外の確認時間も必要です。

素材が確定しているか

仮編集の途中で差し替えが続く場合、同じ箇所を再確認することがあります。急ぎほど、最新版の共有が重要です。

担当は、分ければ速くなるとは限りません

急ぎ案件では「複数人でやれば早いのでは?」という考え方があります。実際に有効な場合もありますが、素材によっては同じ担当者が続けた方が速く、仕上がりも安定します。

ONE TRANSLATOR

同じ担当者で続けた方がよいケース

  • 1本の長いインタビューで前後の文脈が重要
  • 専門用語や固有名詞が多い
  • 話し手の言い回しを一貫して訳したい
  • 途中で担当を変える方が引き継ぎに時間がかかる
MULTIPLE TRANSLATORS

分担しやすいケース

  • 独立した短いファイルが複数ある
  • インタビュー対象者ごとに素材が分かれている
  • ファイル間の文脈依存が少ない
  • 納期が非常に短く、並行作業の効果が大きい
HYBRID

一部だけ分けるケース

  • 主要インタビューは同じ担当者で継続
  • 独立した街録や短い別素材だけ分担
  • 共通する人名・用語を最初に共有
  • 納品前に表記や訳語をそろえる
分担の基準は「ファイル数」だけではありません。 10ファイルあっても同じインタビューの連続素材なら、1人で続けた方がよい場合があります。逆に3ファイルでも内容が完全に独立していれば、分担しやすくなります。

優先順位が分かると、納品の組み方が変わります

急ぎ案件では、全ファイルを同じ時刻に完成させる必要がないこともあります。編集で先に使うものが分かれば、その順番に合わせて作業できます。

たとえば、6ファイルある場合

優先1冒頭で使用するインタビュー2本を先に翻訳
優先2確認が必要な専門家コメントを次に翻訳
優先3残りの街録素材を順次納品

このように優先順位が分かれば、「全部が終わるまで待つ」必要はありません。仕上がったファイルから順次納品し、編集を先に進めていただけます。

実際には、こう組み立てます

CASE 01

短い独立ファイルが複数

英語、8〜10分のインタビューが4本。人物も内容も別で、20時到着、翌日正午まで。

→ 複数担当に分けやすい。優先ファイルから順次納品。

CASE 02

1本の専門家インタビュー

英語、35分。専門用語が多く、話が前後でつながる。納期は翌日正午。

→ 無理に分けず、同じ担当者で続ける方が安定しやすい。

CASE 03

本編+独立した街録素材

主要インタビュー1本と、短い街録が5本。最初に本編の重要箇所が必要。

→ 本編は同じ担当者、街録は別担当へ。混合型で進める。
複数の映像素材と翻訳原稿を確認しながら急ぎ対応を進めるイメージ

素材到着時間と納期は、そのうえで重要になります

言語、内容、翻訳量、素材状態、ファイル構成を確認したうえで、最後に「何時から作業できて、何時まで使えるか」を重ねます。同じ素材でも、前日の17時に届くのか、20時なのか、深夜なのかで選べる方法は変わります。

時間については、この3点を確認します。

01素材到着予定時刻いつから実作業を始められるか
02希望納期まず目標にしたい時刻
03編集上の最終期限ここを超えると困る時刻

素材到着が遅れそうな場合は、その時点でお知らせください

「20時予定」が22時、23時へずれ込むと、担当者の確保状況も変わります。到着が未確定でも、「遅れる可能性がある」と分かれば、別の組み方を検討できる場合があります。

急ぎのご相談では、ここまで分かればかなり判断できます

ご相談例

英語インタビューの映像翻訳です。

素材は合計40分ほどですが、実際に話しているのは25分前後です。
専門家インタビュー1本と、短い街録が4本に分かれています。
素材は本日20時ごろ届く予定で、希望は明日10時、最終的には正午までに必要です。
まず専門家インタビューを優先したいです。街録は別担当でも問題ありません。

素材到着前でも、納期からご相談ください。

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