VIDEO TRANSLATION GUIDE A07
テレビ番組の映像翻訳は、
映画・ドラマ翻訳と何が違うのか
テレビ番組の海外取材・インタビューなどの素材翻訳と、映画・ドラマの字幕・吹替翻訳を比較します。
テレビ番組の素材翻訳では、スクリプトのない編集前の生素材を、まず聞き取るところから始まります。
大きな違いは、スクリプトがあるかどうか
映画やドラマの字幕・吹替翻訳では、台本やスクリプトを参照しながら進めることが多くあります。映像とセリフを照らし合わせ、作品の文脈や人物の関係を踏まえて表現を考えます。
一方、テレビ番組の海外取材、インタビュー、街録、記者会見、スポーツなどでは、スクリプトのない編集前の映像素材を扱うことがほとんどです。
つまり、翻訳の前に、まず「何を話しているのか」を自分の耳で聞き取らなければなりません。テレビ番組の映像翻訳では、この聞き取りが翻訳の土台になります。
FILM / DRAMA
映画・ドラマの字幕・吹替翻訳
- 台本やスクリプトを参照できることが多い
- 完成作品の世界観や人物関係を踏まえて訳す
- 字幕では字数や表示時間などの制約もある
TV PROGRAM MATERIAL
テレビ番組の素材翻訳
- スクリプトのない取材・ロケ・会見素材が中心
- まず発言を正確に聞き取るところから始まる
- 編集・番組制作で使うための翻訳原稿を作る
届くのは、編集前の「生の素材」
テレビ番組で届く素材は、完成した作品とは限りません。海外ロケの撮影データ、長時間のインタビュー、街録、会見、電話音声など、編集前の状態で届くことがあります。
そのため、実際に素材を開いてみるまで、どのような状態か分からないことも珍しくありません。
訛り・アクセント
話者の出身地や母語によって、発音や話し方が大きく異なることがあります。
話者のかぶり
ロケや街録では、複数の人が同時に話し、声を聞き分ける必要があることもあります。
周囲の雑音
屋外、移動中、イベント会場などでは、環境音が聞き取りに影響します。
専門性
スポーツ、医療、政治、科学など、素材を開いて初めて専門性の高さが分かる場合があります。
素材の長さと発話量
30分素材でも、実際の外国語発話が5分なのか30分なのかで作業量は大きく変わります。
ファイル構成
1本の長尺素材か、複数の短い素材か。前後のつながりによっても進め方が変わります。
翻訳原稿は、番組制作・編集で使われます
テレビ番組の素材翻訳では、発言の意味と話し手の意図を正確に伝える翻訳原稿を作ります。制作スタッフはその原稿をもとに素材の内容を理解し、どこを番組で使うかを判断します。
そのため、タイムコード、話者、発言内容などを整理した翻訳原稿として納品することがあります。編集担当者が映像のどの箇所で、誰が、何を話しているのかを確認できるようにします。
「どこを使うか」を決める前の翻訳
海外インタビューが30分あった場合、最初から番組で使う数十秒が決まっているとは限りません。まず素材全体の内容を把握し、制作側が必要な発言を選び、その後に編集が進むことがあります。
このように、素材翻訳は番組制作の途中で、発言の内容や文脈を正確に把握するための翻訳という役割を担っています。使用箇所を選ぶ段階でも、発言の意味や意図を取り違えない原稿が必要です。
言葉だけでは判断できないことがあります
映像や文脈を確認することは、映画・ドラマ翻訳にも、テレビ番組の素材翻訳にも共通しています。取材やロケの素材でも、音声だけでは意味を確定できないときは、話者の表情、指さしているもの、周囲の状況、前後の会話などを確認します。
人名、地名、競技名、専門用語などは、その場面や映像内の情報から特定できることもあります。
テレビ番組の映像翻訳では、「言葉を聞く」と「映像を見る」を切り離さないことが重要です。
音声だけでなく、映像内の情報や前後の状況も確認しながら意味を判断します。
発言の意味と意図を、番組制作へ正確に伝える
テレビ番組の映像翻訳では、翻訳そのものの正確さに加え、その原稿が番組制作の中でどのように使われるかを考える必要があります。
どの発言を使うのか。どの箇所を先に確認したいのか。急ぎでどこまで必要なのか。素材の状態や編集スケジュールによって、求められる進め方も変わります。
映画・ドラマの字幕・吹替翻訳と、テレビ番組の素材翻訳は、どちらも映像と言葉を扱う仕事です。そのうえで、作業の入口、素材の状態、翻訳が使われる制作工程に違いがあります。
その原稿は、制作スタッフによる素材の内容確認や使用箇所の選定、編集に使われます。
言語別の映像翻訳
テレビ番組の映像翻訳では、英語、韓国語、中国語、スペイン語など、言語が変わっても「生素材を聞き取り、映像と文脈を確認する」という基本は共通しています。